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社説:バイデン氏就任1年 「団結」遠い米政治の混迷 - 毎日新聞

 米国の「団結」を訴えたバイデン大統領の就任から1年がたつ。その言葉は今、むなしく響く。

 新型コロナウイルスとの闘いは越年し、インフレに国民はあえぐ。人種差別の風潮は収まらず、日常生活に暗い影を落とす。

 とりわけ深刻なのは、目を覆うばかりの政治の混迷である。

 バイデン氏を支えるはずの与党・民主党は内部対立を引き起こし、最大課題である大型歳出法案の成立にめどが立たない。

 福祉を拡充し、大胆な気候変動対策を実施するための看板政策である。だが、実行力を示せていないとの批判が高まるばかりだ。

 共和党が各州で進めている投票規制に対抗し、投票日を休日にするなど投票機会を拡大する法案を提起したが、行き詰まっている。

 審議規則を変更してまで採決を急ぐやり方に民主党の一部議員が反発し、その説得に失敗して指導力に疑問符がついた。

 昨夏のアフガニスタンからの米軍撤収を機に支持率が急落し、4割前後で低迷する。トランプ前大統領の就任1年後と同じ水準だ。

 早くも2024年の大統領選は「バイデン氏では戦えない」との声が党内に出ている。それほど危機的な状況ということだろう。

 窮地に乗じてか、表舞台に再び登場したのがトランプ氏だ。先週の演説で「次期大統領選で政権を奪還する」とぶち上げた。

 トランプ氏は一族が経営する企業スキャンダルの渦中にある。昨年1月の米連邦議会議事堂襲撃事件でも周辺捜査が進んでいる。

 それでも共和党支持層の好感度は8割に上る。11月の中間選挙を控え、この人気にあやかろうとする候補は後を絶たない。

 ただ、共和党に有利に働くとは限らない。トランプ氏は敗北した先の大統領選を「不正選挙」と主張することになお固執している。

 これをうのみにして陰謀論を言い立てるトランプ派の候補が「刺客」として擁立され、党主流派との対立に拍車をかけている。

 混迷の出口は見えない。外交政策への影響も懸念される。国際社会をけん引する力が弱まり、孤立主義の色彩を強める恐れもある。

 米国の先行きをどう見通し、どんな関係を構築していくのか。日本の対応も問われる。

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