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ロシアがマリウポリの製鉄所に総攻撃=ウクライナ指揮官 ロシアは「宣戦布告」観測を否定 - BBCニュース

Azovstal steelworks

画像提供, Reuters

ロシアによる軍事侵攻の続くウクライナで4日、政府当局は南東部マリウポリでウクライナ兵や民間人が最後に残った製鉄所に、ロシア軍が総攻撃を開始したと明らかにした。製鉄所内には子供を含めてまだ約200人の民間人が残っているとされる。他方、ロシア政府は同日、5月9日の対独戦勝記念日に正式にウクライナに対して宣戦布告するのではとの観測を否定した。欧州連合(EU)ではウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長が同日、ロシア産原油の輸入禁止を加盟国に提案した。

ロシア軍、製鉄所の「敷地内」に=ウクライナ指揮官

マリウポリでウクライナ兵が立てこもり、民間人が避難を続けるアゾフスタリ製鉄所で、ウクライナ部隊の指揮をとるアゾフ連隊のデニス・プロコペンコ司令官は通信アプリ「テレグラム」に短いビデオを投稿。その中で、ロシア軍が「製鉄所の敷地内」に入ったと話した。

プロコペンコ氏によると、製鉄所内の部隊は「血だらけの厳しい戦闘」を2日連続で戦っているという。「敵の圧力を抑え込もうと超人的な働きを続ける我が軍の兵士たちを、誇りに思っている(中略)状況は非常に厳しい」と、司令官は話した。

ロシア軍が製鉄所内への攻撃を開始したという報告について、BBCは独自に検証できていない。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は国連のアントニオ・グテーレス事務総長と電話会談し、製鉄所内の人たちの救出支援を要請した。

アゾフスタリ製鉄所からはこれまでに、国連や赤十字国際委員会(ICRC)の協力を受けながら、民間人100人以上が脱出し、南東部ザポリッジャへ避難した。しかし、製鉄所内には子供を含めてまだ約200人の民間人が残っているとされる。

ゼレンスキー大統領は、約100人の救出支援をグテーレス事務総長に感謝した上で、「私たちには全員が大事だ。負傷者全員を救助するため助けてほしい」と、事務総長に伝えたという。

Mariupol

南東部各地から新たに344人避難

ウクライナのイリナ・ヴェレシチュク副首相は同日、マリウポリを含めた南東部各地から新たに344人が、ウクライナ統治下にある南東部ザポリッジャへ避難したと明らかにした。

「テレグラム」で副首相は、国連と赤十字に協力を感謝し、「マリウポリ、マンフシュ、ベルジャンスク、トクマク、ワシリウカから、女性と子供、高齢者」が避難したと明らかにした。さらに、「困難な状況でこの人たちが特に必要としている心理的サポートを含め、支援を提供していく」と書いた。

「マリウポリをはじめ各地から民間人の第2陣が避難したことは重要だが、戦闘に巻き込まれた全ての民間人が、それぞれの望む方向へ確実に脱出できるよう、さらに多くの取り組みが必要だ」と、調整官はツイッターに書いた。

Short presentational transparent line

ロシア軍は同日、アゾフスタリ製鉄所から引き続き民間人が脱出できるよう、5日から7日の日中にかけて停戦を実施し、避難のための人道回廊を設けると発表した。

一方、多くの市民が避難していた市内の劇場が3月半ばに爆撃された問題で、これまで市当局は劇場での死者は推定300人に上るとしていたのに対して、AP通信は4日、生存者や救助隊などへの独自取材から、死者数は約600人に上ると伝えた。

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Presentational white space
Mariupol theatre
mariupol theatre

ロシア軍は2月下旬の開戦当初から、マリウポリを徹底的に攻撃し続けた。ロシアにとっては、マリウポリを押さえれば、ウクライナ南岸全体の掌握が容易になる。そうすれば、親ロシア分離独立派が実効支配するウクライナ東部のドネツクやルハンスクと、ロシアが2014年に併合したクリミアが陸続きになる。加えて、ウクライナの西の隣国モルドヴァでロシア系住民が分離を宣言しているトランスニストリア地域にも、接近しやすくなる。

Ukrainian and Russian positions
Presentational white space

補給妨害のためロシアはウクライナ各地砲撃=英国防省

ロシア地上部隊の作戦行動はウクライナ東部に集中しているが、ウクライナの補給線を妨害するためロシア軍は国内各地へのミサイル攻撃を続けている。

ロシア軍の作戦が停滞する中、学校や病院、住宅、交通ハブを含めた非軍事標的が、引き続き攻撃されている。これは、ウクライナの決意をくじくため、ロシアが進んで民間インフラを標的にしていることの表れだ。

オデーサ、ヘルソン、マリウポリといった主要都市が引き続き標的にされている。これは黒海へのアクセスを完全な支配下におきたいという意向を浮き彫りにするもので、成功すればウクライナの海上交通路をロシアが支配できるようになり、ウクライナ経済は打撃を受けることになる。

「宣戦布告」観測をロシア政府は否定

ロシア政府はこれまで、ウクライナ侵攻を「侵攻」とも「戦争」とも呼ばず、「特別軍事作戦」と呼び続けている。しかし、ウクライナの首都キーウのほか、東部や南部の制圧作戦も進捗(しんちょく)が遅れている中で、5月9日の戦勝記念日(第2次世界大戦の対独戦勝を記念する日)に正式に宣戦布告すると共に、国家総動員を発令し、ウクライナへの全面戦争に臨むのではないかと、西側当局者の間では観測が続いていた。

これについて、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は4日、そのようなうわさはまったく事実と異なるとして、「ナンセンス」だと退けた。

5月9日にはモスクワで恒例の軍事パレードが行われるほか、マリウポリでも何らかのパレードが予定されているのではないかとの見方もある。

EU、ロシア産原油の禁輸提案

EUのフォン・デア・ライエン欧州委員長は同日、ロシアに対する追加制裁として、ロシア産原油の段階的な輸入禁止と戦争犯罪容疑者への制裁を提案した。

委員長は仏東部ストラスブールで開かれた欧州議会で演説し、「ロシアからの原油輸入を6カ月以内、石油精製品を年末までに段階的に廃止する」と提案を説明。欧州への打撃を最小にとどめながら、ロシアに最大限の圧力を加える意向を示し、「秩序ある形で、ロシアの石油の輸入を段階的になくしていく」と述べた。

加盟国が合意すれば実施されるが、ロシア産原油への依存度が高いハンガリー政府はすでに現行案は受け入れられないと反対している。チェコとスロヴァキアの両政府は、実施までの2~3年の移行期間を求めている。

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