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【ロンドン=中島裕介、ワシントン=中村亮】米国と英国、オーストラリアは5日、極超音速兵器や無人潜水機の開発など8分野で協力していくと発表した。合意済みの豪州に対する原子力潜水艦の供与から協力分野を増やし、中国に対抗する姿勢を鮮明にした。
米英豪の首脳は5日、2021年9月に創設した安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」の進捗を確認した。共同声明で「自由で開かれたインド太平洋への関与を再確認した」と強調した。「人権や法の統治などを尊重する国際システムへの揺るぎない関与」も訴え、ロシアによるウクライナ侵攻に重ねて反対した。
米ホワイトハウスによると、3カ国は8分野で協力を確認した。極超音速ミサイルは音速の5倍以上の速さで速度や経路を調整しながら飛行できる最新鋭兵器で、既存のミサイル防衛システムでは迎撃が難しいとされる。米国や中国、ロシア、北朝鮮が開発を競っている。
豪州はすでに2020年末に米国との共同開発を発表していたが、英国も加わることで開発を加速させる。3カ国の協力により、各国が模索する極超音速兵器を迎撃できる装備の開発競争でも先行を目指す。防衛分野全般の技術革新の協力や情報共有も深める方針だ。英政府は「3カ国は同盟国や友好国との連携の機会も探る」としている。
米英豪は自立型無人潜水機や量子技術、人工知能(AI)、サイバー能力、電子戦能力、防衛技術の革新、情報共有も協力分野にあげた。いずれも先端技術を駆使した次世代の戦闘に必要な能力や技術だ。西太平洋で軍事力を増す中国への対抗を念頭に置いている。
オーカスは21年9月、米英による豪海軍向けの原子力潜水艦の量産支援を柱として発足した。豪州が原潜をインド洋や太平洋で展開できれば、米国を中心とした西側諸国による中国への抑止力は高まる。
米英豪の協力拡大はウクライナ情勢で安全保障上の関心が欧州に集まる中で、中国へのけん制も含めたアジア重視の姿勢を再確認する狙いもありそうだ。米国防総省は3月下旬に公表した国家防衛戦略の概要で中国への対処を最優先事項に位置づけていた。
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